2011/03/10

ヒューマンイノベーション・フォーラム

東洋経済新報社主催の「ヒューマンイノベーション・フォーラム」に参加しました。
https://toyokeizai.smartseminar.jp/public/seminar/view/24

グローバル時代に向けた「人と組織」の新しい形 というタイトルでした。以下、講演順に感想など。

■日本マイクロソフト株式会社 「これからの人材育成と組織改革」
講演者の樋口社長は、新浪氏とハーバードビジネススクールでの同級生だそうです。樋口氏個人の経歴が興味深かったです。ヒューレッドパッカード→ダイエー→現職
確実に仕事を遂行される、堅実な雰囲気を感じました。
ダイエー時代のエピソードを交えながらの話はなかなか面白かったです。
変革できるリーダー像として

 戦略・実行力 + 社員力 + 健全なる企業文化

を上げていました。世界的視野においては、文化間の距離を埋める人材の必要性を訴えており、ダイバーシティ(多様性)が重要ということで、それ(異分子注入)はイノベーションにも通ずるというご指摘。

■アルー株式会社 「エンゲージメント経営が組織を変える」
エンゲージメントとは、モチベーション+コミットメントとのこと。
従業員満足度は、直接、財務諸表の改善や受注拡大にはつながらない。繋がるのは、エンゲージメントだ、というのが主張でした。
指標は測定できるものにする。財務諸表などに繋がる指標を使うという指摘は一理あります。

■HRプロ株式会社 「グローバル新時代、日本新卒採用はいかに変われるか」
昨今言われるような、新卒採用の内定率や一括採用の問題、採用活動を遅らせることなど、を取り上げつつ、問題の本質はそこなのか?という投げかけをされていたのは良かったです。産学連携が大事だと言う指摘は納得です。
企業が大学側にリクルートをし、学生も大学を通じての会社探しをしなさい。ということで、就職のナビサイトでは、どうしても注目が大手に集まってしまう。それは不公平だと論じていました。
しかし、名も知られていない中小企業こそ、このようなナビに登録する価値があるはずだと思いますが(このような場が無ければ、知らしめる機会が無い)
ナビはしょせん、場です。大手が強すぎると嘆くのでは無く、限られた中で何とか頑張るしか無いのでしょう(弊社も同じで採用には力を入れております)

■株式会社ローソン 「成長のための人財育成」
本講演を聞いて、ローソンファンになりました。というぐらいに、思いのある講演でした。
「イノベーション」は競争により作られ、2000年までは「これまでに無いサービス」を作ることでコンビニは成長してきた。
しかし、量の拡大は飽和状態に陥り、このままではコンビニ業態は衰退していく。
その中で、コンビニが生き残る道は地域への同質化というご指摘。そのためには、本部からのオペレーションではダメで、地域の店長一人一人が考えて動ける社員であることが必要。
ということを、社長就任時より考え、そのような社員が育つための研修などに力を入れてきた、というエピソードは秀逸。
このような取組が、プレミアムロールケーキの開発に繋がり、様々な形態の新ローソンを誕生させ、これらの収益率は相当のものらしい(その陰には沢山の失敗もあったということだった)
印象的なのは、失敗はさせてなんぼ。行動がなければ仕方無い。
という点でした。他方、製造業の多くを回っていると聞こえてくるのは「開発期間が短くなり、新人に適度な失敗をさせる余裕が無い」という現場の悲痛な声です。
結局、トップにこの意識が無ければ、上手く回らないということの好例なのかも知れません。
ローソンに転職したいと本気で思いました。これだけの、研修準備と実績を積むための場が用意されている企業も少ないのでは?知らないだけかもですが。
意外だったのは、2008年から外国人の採用を拡大したのは、海外展開を狙ったことでは無く、ダイバーシティによる「イノベーション」の実行だったとのこと。異分子によるイノベーションの考え方は樋口社長と同じですね。これぞハーバード流?
北陸と東京との比較なども面白かった。北陸は祖父母が一緒に暮らしており、夫婦共働きが多い→だから子供手当は不要。それよりも、高齢者が元気に孫の世話が出来る状態を作ることが大事。他方、東京は保育園などの施設が足りていないために、片親が仕事をせずに家で子供の面倒を見ない状態にある。だから、保育園施設の拡充が大切。地域によって特色が違うわけです。ローソンでは道州制を取り入れて、日本を7つの地域に分けているそうです。

■株式会社コーチ・エィ 「組織改革に向けたリーダー育成」
考えるとは何か? この問いが全てかなと感じました。最近読んだ本の中で、「優れた問いは優れた答えに勝る」という記述があり、繋がりました。
つまり、回答が与えられた瞬間に思考停止に陥る可能性が高いわけです。
このマネージメントが正しい。と思っているマネージャーほど危険であり、マネージメントにはゴールは無くて、常に「良いマネージメントとは何か?」を問いかけることが出来るマネージャーが優秀なマネージャーでは無いか?という投げかけには同感です。
弊社が目指す、新しい人事部像もこれに近いと思います。常に、解決策を疑い、課題を疑い、課題の背景にあるものを疑う。

■パネルディスカッション
AGCとコマツとP&Gの方々がパネラーでした。
三社三様ではありましたが、プロフェッショナル、イノベーション、ダイバーシティというのは共通していました。
特にコマツの「居甲斐(コマツにいて良かった)」という考え方は共感を持てました。
日本企業であることを理解した上で、上手に海外へ同質化している姿が見えました。

■まとめ
考えることが出来る人材がキーです。
弊社でやろうとしていることも「考える人事マン」のお手伝いをすること。と言い換えられると感じました。
そして組織の在り方、人事の在り方に正答は無くて、常に「良い組織とは?」「良い人事とは?」ということを問い続けられることが大事なのでは無いかと強く感じました。
一緒に問いを考えたり、答えに至るプロセスを提供したり、という形で関わることが出来ればと考えます。

(Y.Nobuka)

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