2012/04/23

知識創造企業にいる社員の矜持

「世の中の悩みを解決する」こと。

今回、出落ちですが、新人さん(今年2年目)の定期報告にあった”所感”より。

彼は入社以来、あるパッケージ製品の担当として上司と二人三脚で1年間頑張っていました。
自社取扱製品ですが、ここでは仮に商品Aとしましょう。

当初より、世の中の悩みを解決するために商品Aは何ができるのか? ということを念頭に仕事をしていたそうです(1年目にして、既にその境地にあるのが凄いと思いましたが)

ところが、最近は、目先の売り上げに追われる余り(だと思いますが)、「どうすればお客さんがつくようなセミナ―ができるか」「どうすれば、弊社のソリューションがお客様と接触する機会を増やせるか」というようなことを考えていたそうです。>大事なことです。

で、そのように「どうしたらお客さんがつくようなセミナ―ができますかね?」

というような話を別部門の部長にしたところ、その部長は

「その考え方は稚拙だ。世の中の悩みを解決する、そのために商品Aに何ができるか?ってことを根本に据えて動かないと先が無いんじゃない?」

と叱咤激励されたそうです。
彼の凄いところは、この時に、直ぐに自分が近視眼的になっていたことに気付き、しかも、自分より多忙で考えることが多い部長の方が、こういう視点で見ていたことに驚いたということでした。
(その部長を多少知っているので、らしさがあるエピソードでそこも好感なのですが)

個人的には、部長だからこそ、色々と考えることはあっても、常に考える軸がそこにあるから、だとも思いますが。

知識創造企業においては、社員一人一人は、こういう視点や誇りを持って仕事に取り組むことが求められるのかと考えます。
因みに、このように近視眼的になるのは、担当者である以上、仕方が無いとも個人的には思います。
本来、「世の中の役に立つ」を考えるのはマネジャーやリーダーの仕事であり、実行部隊は、短期的には考えることを止めて、目の前のタスクをひたすら処理することも求められるはずです。
(そのバランスであったり、そうであっても、長期的な視点を持つということが大事ではありますが)

ということころで、以前の「キャリア官僚よりも面白いキャリア」の”キャリア構築3つの視点”に繋がっています。
http://kke-keieijinji.blogspot.jp/2012/02/blog-post_29.html

考えるべきことは多く、正解はありません。正解主義から修正主義へ、です。

(Y.Nobuka)

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2012/04/19

【実施報告】第3回 新商品開発のためのイノベーションゲーム(R) in 名古屋

2012年4月17日(火) スマートシティを題材にした「イノベーションゲーム(R)」の3回目を名古屋で開催しました。参加者は17名でした。2チームに分かれて、同時平行で実施しました。


【概要】
過去2回の反省を生かし、「スマートシティ」という漠然とした場では無く、「15年後の名古屋」をキーワードにスマートシティの在り方を考える。というような設計としました。
参加者には事前アンケートにもご協力頂き、その結果を基に「健康・安心」と「文化・にぎわい」という2つのテーマを設定しました。

○参加者の注目を集めたのは以下3つのソリューションでした。

【1】高齢者のシェアリング

「シェアリングサービス」と「電子カルテ」の結合
→介護者の負担を減らすため分業、電子カルテで高齢者情報をシェアし、料理・掃除などスキルを持ち寄る。スケジューリングの技術も必要になりますね。個人的には、介護サービスを細分化するという視点が面白いと感じました。
学生が空き時間に介護を提供することも可能になります。

【2】病院が運営するショッピングモール

「ライフログ」と「複合商業施設」の結合
→購入費節約、健康な人と病気がちな人の行動を把握して、楽しいリハビリを実現。つい先日、ワールドビジネスサテライトで、同じような特集がありました。
新しくオープンする「イオンモール船橋」は、30代の家庭層からシニアまでをターゲットにした、かなり踏み込んだ従来には無い形のモールになっています。また、セントラルスポーツがさいたま市にオープンしているスポーツクラブは、高齢者向けのリハビリ施設を併設させることで、スポーツクラブとリハビリ施設の往復を容易にしていました。
買い物におけるPOSデータを、健康管理に役立て行こうと言う視点が面白いですね。

【3】僕らの作る観光ガイド

「インターネット家電」と「パーソナルモビリティ」の結合
→無意識に撮影したものや、データから、自動でリコメンド(推薦)をしてくれる観光ガイドシステム。観光プランやシナリオまでを作成。これは、無意識がやはりポイントですね。実は、弊社で同様の取り組みをしたことがあり、その時にはかなり良い線を行く「レコメンドシステム」を開発しております。
社員の協力による評価でしたが、開発したシステムが”レコメンド”した観光地が、当たり前では無いのだが、言われたら大変興味のあるスポットだった。というものが数多くありました。
レコメンドの分野は可能性が無限大ですね。

【結】
今回は、上記3つにつきグループワークも行ったことで、ソリューションに対する参加者の満足感は高まったように感じました。
一方で、本質的で重要な課題/要求が出されていたにも関わらず、解決の糸口が見えないためか、良いソリューションが提案されない、という課題が如実に出ました。
これも幾つかの解消方法が考えられるわけですが、今後の検討課題となります。

さて、明日は「計測機器メーカー」さんにて、イノベーションゲーム(R)を実施させて頂く予定です。
まずはお試しですが、これをステップに社内にインストールをして頂ければ嬉しい限りです。

※イノベーションゲーム(R)は東京大学 大澤教授の登録商標です。

(Y.Nobuka)

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【当日の様子】


2012/04/13

イノベーションゲーム(R)の基礎カード完成

来る2012年4月17日(火) 名古屋で開催する、イノベーションゲーム(R)体験セミナで使用する基礎カードが完成しました。

※基礎カード:アイデア発想を行うための、組み合わせ元になる技術やサービスを説明したカード

基礎カード一覧







基礎カード(抜粋)


さて、発想が湧くようなカードになっているでしょうか。
今回は、「15年後の名古屋をスマートシティにしよう!」という副題がついております。
これまでのイノベーションゲーム(R)の実施を通じて消費者ロールの在り方についても仮説が見えてきております。
事前に消費者ロールをご案内し、ゲーム内で実施するロールについて出来る限り、調べて来て貰うことになっております。




イノベーションは市場の潜在的な要求に隠れています。
誰も気づかないが、そこに眠っている”チャンス”を発見するためには、対話が欠かせません。
その際には、消費者の要求も表層的なものになっては面白くありません。
ゲーム中において、消費者が満足するようなアイデア(ソリューション)が提示されなかったとすれば、それは他のプレーヤーが消費者の要求の意図や制約を理解出来ていないということなのです。

要求の裏にある、本当の声を対話によって掴んでいく、という感じでしょうか。

ただし、それは必ずしも聴き手側の問題だけでは無く、むしろ、消費者自身も自分の立場における、意図や制約と言うものを具体的に述べることが大事です。

そのために、事前に消費者ロールに精通して貰う、というフェーズが有効と言うわけです。

また、初めてイノベーションゲーム(R)に触れるという方が多いので、半日のセミナ時間の中で2回ゲームを実施できるようにしました。
そのため、全く同じゲームを行うのも飽きなどもあるだろうと言うことで、2つのテーマを設けてそれぞれにゲームを体験して貰えるようにしています。

詳しくはまた、事後報告などでお伝えする予定です。

15名を予定して募集をしたところ、22名の方にコンタクトを頂き、急遽会場も変更しました。

何とか盛り上がりのあるゲームになることを願うばかりです。来週の名古屋が楽しみです。

実は、金曜日には、某計測機メーカーさんでインハウスのゲームも実施予定ですが、これは公開の許可が取れれば、事例としてお伝えしていくようにします。


※イノベーションゲーム(R)は東京大学 大澤教授の登録商標です。

(Y.Nobuka)

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