2012/04/28

【参加報告】創造性ものづくり&創造性工学プロジェクト

本日、2012年4月28日(土) 東京大学 本郷キャンパスにて、「創造性ものづくり」という授業に参加させて頂きました。
http://www.panda.sys.t.u-tokyo.ac.jp/creativity_class.html

全4回(1回90分×3コマ)の構成で、実際にイノベーションゲームの実施までを行うものです。
大澤先生と共同研究をしている関係で、お声掛けを頂きました。

本日は、前半2時間程度で、イノベーションゲームのエッセンス(背景理解)に関する講義でした。いつも、セミナや講演会では長くても30分程度でしか聞けなかった内容を、たっぷり時間をかけて拝聴できて、これだけでも有意義な時間でした。

先生がいつも講演の最初に話されるエジソンのネタがあって(今度聞く方がネタばれになるので詳細は伏せます)、アイスブレークに良いなー、といつも思っていましたが、このネタ振りの返しで聴講者のパーソナリティを推測し、その日の講演スタイルを変えている。 という話を聞いて、「さすが」の一言でした。

生地メーカーさんとの取り組みを通じて、マップに実物を貼ることの大事さを痛感し、以後、基礎カードというゲームカードをマップに貼った状態のゲームを実施している。
これを改めて聞いてきて、ソリューションものは難しいにせよ、なるべく立体的な「製品」そのものが置けるとさらにベストなんだと気付きました。

そこで思いだされるのが、鍋山氏の講演です。
http://kke-keieijinji.blogspot.jp/2012/01/blog-post_28.html

「日本人はモノを通じないと理解ができない。概念力が弱い」

最近、色々な形態、場所でイノベーションゲーム(R)を実施していて感じるのは、そこです。
ならばモノを置いてあげれば、日本人はかなり良い理解・発想が出来るのだろうと考えます。

きちんと大学の授業なので、ブレーンストーミングやKJ法など、色々なアイデア発想法の紹介とその弱点などが論じられており、情報の整理としては良かったです。

後半は、紙版のアナロジーゲームの、個人ワークとグループワークをしました。
(説明)http://www.panda.sys.t.u-tokyo.ac.jp/nishihara/AG_ver7.1c/

2年前に初めて、大澤先生の研究室でWEB版のアナロジーゲームをやった時は、深い意味も理解しなまま取り組みました。その後のイノベーションゲーム(R)も、自分は観察者でプレーヤーではありませんでした。そもそも、初めてだったので、それが意味することが深く理解出来ていませんでした。

あれから2年、様々なゲームをしてきた中で感じていたモヤモヤが、本日少しスッキリしました。

やはり、基礎カード作りの段階からプレーヤーが深く関わるのが望ましいです。
アナロジーゲームもよく出来ています。例外・仲間外れを禁止する制約が、確かに思考の整理に役立ちます。これも、以前の編集力の話であった、ラベルを壊すことに通じています。そして、再構成。

本日は、個人ワークでこれを行った後、4名1チームのグループワークも行いました。厚かましくも学生さんの輪に交じり、楽しくワークをさせて貰いました。今回の授業は、学部3年生が多かったものの、修士1年生、2年生もいて、専門も電子工学から教養学部まで幅広いジャンルにわたっていて面白かったです。

ただ、文系(教養学部)の学生さんは一人で、偶然にも文系のバックボーンを持つ自分が一緒のグループになったのも、何かの縁だったのでしょう。本当は別々の方が、より異なる文化の融合に出会えたかも知れませんが。因みに、わたしの出身は立教大学という経済や観光が強い感じの(一応)ミッション系の大学でしたので、そんなところでも、東京大学に進学している学生さんとは、かなり背景が違っていたかなと感じました(それが良いことなわけですが)

【個人ワーク】
(1)「スマートでロバストな街」を作るためのキーワードを20個考える。
(2)5つのグループに分けて、それぞれにグループ名をつける

【グループワーク】
(1)個人ワークで作った各グループから1つずつ計5個のワードを抜き出す
(2)4名×5個=20個のキーワードを5つ以内のグループに分けて、名前をつける

写真が見にくいところもあるので書いておきますと、個人ワークでは、


「ネットワーク」「装置」「乗り物」「備え」「エリア」

という5つのキーワードに概念構成をしました。
「備え」「装置」「エリア」はどれも、災害へ対する備えになっているもので、アプローチなどにより3分類されました。エリアについては、平常時は、憩いの場や空間として安らぎを与える場ということになります。これはスマートシティとか、ロバストシティというよりは、そこに含まれる環境配慮型の都市のニュアンスが表出しています。
「ネットワーク」も備えの意味が強く、いざ何かがあった時にはソフト面も大事という思いが込めてあります。「乗り物」はスマートシティにおいては、もっと”スマート”な存在であって欲しいということで、公共交通機関などは、ライトレールやモノレールのイメージになっています。

これがグループワークでは、以下のようにかなり概念的なものになりました



「つながり」「しなやかさ」「制約」「循環」「駆動力(※個人的にはスローガン)」

「つながり」「しなやかさ」「循環」というのは比較的、スマートシティやロバストシティを語る時に使われやすい単語かも知れません。しかし、これは我々がビジネスマンだからという一面があります。
学生さんにとっては、案外、こういう話は身近では無く、今日のわずなかワークを通じて、こういうことが内面から出てきたというのが面白かったです。

「制約」はかなり特殊ですね。
色々な解釈は出来ますが、わたしのニュアンスは、多少の制約がある方が楽しかったり、創造性、成長につながる。というものです。

「駆動力」というのは、人を動かすキーワードということです。これは、実際にスマートなロバストシティを実現していく時に、お題目として必要なもの。ということになります。

わたしがこの2つのワークで感じたことは、まさしく、一人で考えていただけでは気付かなかったことが、それぞれの対話を通じて、理解され、概念が再構築される観念を持てたことです。
そして、このような理解があるからこそ、使われたキーワードを基礎カードにして、イノベーションゲーム(R)をやれば、これは何か凄いものが生まれそうな、そんな感覚に捉われました。

結局、この辺のことが出来ていないんですよね。
長文になりましたので、このあたりで終わりとしますが、次回5月26日も俄然、楽しみになってきました。

※イノベーションゲーム(R)は東京大学 大澤教授の登録商標です。

(Y.Nobuka)

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2012/04/24

会社紹介に寄せて

2012年4月23日(月)。弊社の今年度新人による、会社紹介プレゼンの場がありました。

3グループに分かれて、それぞれの視点から「会社紹介」を行っていました。

演劇調のグループあり、ムービーを駆使するグループあり、と短い時間でよく纏めたなー、という印象でした。一点気になったこと。

あるグループの発表後の質疑応答で、それは時間が無かったので出来ませんでした。というようなフレーズを何回か聞きました。
最初に聞いた時から違和感がありました。

それって、お客さんにも言うのでしょうか?

「時間が無い」は言い訳にもなっていない、ということを自分自身、再認識させられました。

限られた時間で最高のアウトプットを出すのがプロフェッショナルです。
もっと言えば、必要と思えば勇気を持って、期限を延ばすことを提案することも必要です。
自分が出したアウトプットには良い意味での自信と誇りを持ち、心の中に謙虚さを秘めるべきです。

時間が無いことを言い訳にして、やらなかったことを恥じるべきなのです。
考えが至らなかったことを指摘されれば、素直に認め、次は生かすことを考えれば良いのです。
時間がもっとあれば出来たはずです。などと答える輩は、どれだけ時間があっても出来る訳が無いですよね。自戒の念もこめて、厳しいことを書いてみました。
(わたしも沢山、悔しい思いをしてきました。でも納期があるのが仕事なのです)

とはいえ、そこは入社3週間。これから改善されていけば良いのだと考えていますが。はたして、新人さんの中に、この一連の質疑に問題意識を感じる人がいれば、それは大変素晴らしいことです。もちろん、フィードバックシートには、そういうアドバイスも載せておきました。おこがましいですが。

それ以外は、どのグループも素晴らしい発表であり、手前味噌ではありますが中々に頼もしい新人が入って来たなと感じました。許されれば、ここで資料などをアップしたいぐらいです。


■■■ここからさきはご興味ある方のみご覧下さい

特に気に入ったのは、大切なパートナーへ、自分の会社がどういうものかを説明する会社紹介資料。というもの。
パートナー(ここでは男視点で、奥さんになっていましたが、、、)の一日の行動を通して、そこにいかに弊社のソリューションが関わっているかを分かりやすくまとめた資料でした。

もう一つ、このグループが良かったのは、

「?」を「!」にして「ハート(本当は記号)」にする

というものでした。分からないことが、分かって、さらに愛する。そんなフローが表現されています。

愛着感があって良いキャッチでは無いでしょうか。

社会をちょっと良くする会社。 そんな表現では卑近でしょうか。こんな感じのキャッチコピーをつけて、生活シーンになぞらえてソリューションを紹介するのは、一つの形としてはありなのかもしれません。

弊社の全社ホームページは以下です。宜しければどうぞ。
http://www.kke.co.jp/

こういうのも、ある意味での親バカとでも言うのでしょうかね。

(Y.Nobuka)

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2012/04/23

知識創造企業にいる社員の矜持

「世の中の悩みを解決する」こと。

今回、出落ちですが、新人さん(今年2年目)の定期報告にあった”所感”より。

彼は入社以来、あるパッケージ製品の担当として上司と二人三脚で1年間頑張っていました。
自社取扱製品ですが、ここでは仮に商品Aとしましょう。

当初より、世の中の悩みを解決するために商品Aは何ができるのか? ということを念頭に仕事をしていたそうです(1年目にして、既にその境地にあるのが凄いと思いましたが)

ところが、最近は、目先の売り上げに追われる余り(だと思いますが)、「どうすればお客さんがつくようなセミナ―ができるか」「どうすれば、弊社のソリューションがお客様と接触する機会を増やせるか」というようなことを考えていたそうです。>大事なことです。

で、そのように「どうしたらお客さんがつくようなセミナ―ができますかね?」

というような話を別部門の部長にしたところ、その部長は

「その考え方は稚拙だ。世の中の悩みを解決する、そのために商品Aに何ができるか?ってことを根本に据えて動かないと先が無いんじゃない?」

と叱咤激励されたそうです。
彼の凄いところは、この時に、直ぐに自分が近視眼的になっていたことに気付き、しかも、自分より多忙で考えることが多い部長の方が、こういう視点で見ていたことに驚いたということでした。
(その部長を多少知っているので、らしさがあるエピソードでそこも好感なのですが)

個人的には、部長だからこそ、色々と考えることはあっても、常に考える軸がそこにあるから、だとも思いますが。

知識創造企業においては、社員一人一人は、こういう視点や誇りを持って仕事に取り組むことが求められるのかと考えます。
因みに、このように近視眼的になるのは、担当者である以上、仕方が無いとも個人的には思います。
本来、「世の中の役に立つ」を考えるのはマネジャーやリーダーの仕事であり、実行部隊は、短期的には考えることを止めて、目の前のタスクをひたすら処理することも求められるはずです。
(そのバランスであったり、そうであっても、長期的な視点を持つということが大事ではありますが)

ということころで、以前の「キャリア官僚よりも面白いキャリア」の”キャリア構築3つの視点”に繋がっています。
http://kke-keieijinji.blogspot.jp/2012/02/blog-post_29.html

考えるべきことは多く、正解はありません。正解主義から修正主義へ、です。

(Y.Nobuka)

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2012/04/19

【実施報告】第3回 新商品開発のためのイノベーションゲーム(R) in 名古屋

2012年4月17日(火) スマートシティを題材にした「イノベーションゲーム(R)」の3回目を名古屋で開催しました。参加者は17名でした。2チームに分かれて、同時平行で実施しました。


【概要】
過去2回の反省を生かし、「スマートシティ」という漠然とした場では無く、「15年後の名古屋」をキーワードにスマートシティの在り方を考える。というような設計としました。
参加者には事前アンケートにもご協力頂き、その結果を基に「健康・安心」と「文化・にぎわい」という2つのテーマを設定しました。

○参加者の注目を集めたのは以下3つのソリューションでした。

【1】高齢者のシェアリング

「シェアリングサービス」と「電子カルテ」の結合
→介護者の負担を減らすため分業、電子カルテで高齢者情報をシェアし、料理・掃除などスキルを持ち寄る。スケジューリングの技術も必要になりますね。個人的には、介護サービスを細分化するという視点が面白いと感じました。
学生が空き時間に介護を提供することも可能になります。

【2】病院が運営するショッピングモール

「ライフログ」と「複合商業施設」の結合
→購入費節約、健康な人と病気がちな人の行動を把握して、楽しいリハビリを実現。つい先日、ワールドビジネスサテライトで、同じような特集がありました。
新しくオープンする「イオンモール船橋」は、30代の家庭層からシニアまでをターゲットにした、かなり踏み込んだ従来には無い形のモールになっています。また、セントラルスポーツがさいたま市にオープンしているスポーツクラブは、高齢者向けのリハビリ施設を併設させることで、スポーツクラブとリハビリ施設の往復を容易にしていました。
買い物におけるPOSデータを、健康管理に役立て行こうと言う視点が面白いですね。

【3】僕らの作る観光ガイド

「インターネット家電」と「パーソナルモビリティ」の結合
→無意識に撮影したものや、データから、自動でリコメンド(推薦)をしてくれる観光ガイドシステム。観光プランやシナリオまでを作成。これは、無意識がやはりポイントですね。実は、弊社で同様の取り組みをしたことがあり、その時にはかなり良い線を行く「レコメンドシステム」を開発しております。
社員の協力による評価でしたが、開発したシステムが”レコメンド”した観光地が、当たり前では無いのだが、言われたら大変興味のあるスポットだった。というものが数多くありました。
レコメンドの分野は可能性が無限大ですね。

【結】
今回は、上記3つにつきグループワークも行ったことで、ソリューションに対する参加者の満足感は高まったように感じました。
一方で、本質的で重要な課題/要求が出されていたにも関わらず、解決の糸口が見えないためか、良いソリューションが提案されない、という課題が如実に出ました。
これも幾つかの解消方法が考えられるわけですが、今後の検討課題となります。

さて、明日は「計測機器メーカー」さんにて、イノベーションゲーム(R)を実施させて頂く予定です。
まずはお試しですが、これをステップに社内にインストールをして頂ければ嬉しい限りです。

※イノベーションゲーム(R)は東京大学 大澤教授の登録商標です。

(Y.Nobuka)

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【当日の様子】


2012/04/13

イノベーションゲーム(R)の基礎カード完成

来る2012年4月17日(火) 名古屋で開催する、イノベーションゲーム(R)体験セミナで使用する基礎カードが完成しました。

※基礎カード:アイデア発想を行うための、組み合わせ元になる技術やサービスを説明したカード

基礎カード一覧







基礎カード(抜粋)


さて、発想が湧くようなカードになっているでしょうか。
今回は、「15年後の名古屋をスマートシティにしよう!」という副題がついております。
これまでのイノベーションゲーム(R)の実施を通じて消費者ロールの在り方についても仮説が見えてきております。
事前に消費者ロールをご案内し、ゲーム内で実施するロールについて出来る限り、調べて来て貰うことになっております。




イノベーションは市場の潜在的な要求に隠れています。
誰も気づかないが、そこに眠っている”チャンス”を発見するためには、対話が欠かせません。
その際には、消費者の要求も表層的なものになっては面白くありません。
ゲーム中において、消費者が満足するようなアイデア(ソリューション)が提示されなかったとすれば、それは他のプレーヤーが消費者の要求の意図や制約を理解出来ていないということなのです。

要求の裏にある、本当の声を対話によって掴んでいく、という感じでしょうか。

ただし、それは必ずしも聴き手側の問題だけでは無く、むしろ、消費者自身も自分の立場における、意図や制約と言うものを具体的に述べることが大事です。

そのために、事前に消費者ロールに精通して貰う、というフェーズが有効と言うわけです。

また、初めてイノベーションゲーム(R)に触れるという方が多いので、半日のセミナ時間の中で2回ゲームを実施できるようにしました。
そのため、全く同じゲームを行うのも飽きなどもあるだろうと言うことで、2つのテーマを設けてそれぞれにゲームを体験して貰えるようにしています。

詳しくはまた、事後報告などでお伝えする予定です。

15名を予定して募集をしたところ、22名の方にコンタクトを頂き、急遽会場も変更しました。

何とか盛り上がりのあるゲームになることを願うばかりです。来週の名古屋が楽しみです。

実は、金曜日には、某計測機メーカーさんでインハウスのゲームも実施予定ですが、これは公開の許可が取れれば、事例としてお伝えしていくようにします。


※イノベーションゲーム(R)は東京大学 大澤教授の登録商標です。

(Y.Nobuka)

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