2012/03/27

プロフェッショナルとは何か

本日、社内セミナにて内田氏のご講演を拝聴しました。
http://uchidak.cocolog-nifty.com/blog/

今は早稲田大学で教鞭を振るわれておりますが、以前までの職場である、ボストンコンサルティングでの経営コンサルタントとしての経験を基に、プロフェッショナルとは何か。という内容でした。詳しいご経歴は、リンク先のプロフィールをご覧下さい。

コンサルタントのイメージは、”理”が強いのですが、内田様は「想い」を大事にしていると言われた通り、”情”が全面に出たタイプのコンサルタントのようで、話には共感する部分が多かったです。(ボストンコンサルティングでは、異色だったと言われていました)

トピックス

「スキル(技)」と「心(想い)」が重要

料理人の例え話
プロ(一流)は、悪い素材なら、それをどのように美味しく調理するかを考える
火力が弱いコンロで料理を作ることになれば、それに合わせて料理を考える

プロで無いものは、お客が美味しく無かったと言った時に、今日は良い素材が入らなかった。コンロが悪かった。最低なのは、お客に見る目が無い、とか言い出すのでしょうね。

今回の講演における、自分なりの結論は、

一流のプロは結果がすべて。ただし、過程も大事 (結果良ければすべて良しは2流のプロ。。。)

常に、最大のパフォーマンスを発揮するために、日頃から準備をしておける人が、本当のプロフェッショナルのだと感じた。話は脱線するが、東京大学 大澤先生が言われている、「チャンスは準備された環境に到来する」に通ずる話もあった。

フェラーリで有名な奥山氏が「カンブリア宮殿」(村上龍氏司会のTV番組)で、「今でも、毎日100通りのアイデアを書いている」と言ったそうです。
これは、このくらいのストックをしていないと、お客から「こんなデザインできる?」と尋ねられた時に、直ぐに対応が出来ない。ということだそうです。この話を聞いた時、バクマンという漫画の「新妻エイジ」を思い出しました。彼もまた、天才なのですが、子供のころから描きためた絵のストックは膨大な量で、あるシーンで、新しい漫画を描こうとした時に、こんなキャラクターはどうだろう?という話しになった時、待てよ、あれは子供の頃描いた、このキャラクターが使えるかも知れない。

と言って、キャラクターのデッサンを出してきたことがありました。
これもまさに、準備された環境に到来するチャンスなのかと感じました。

聞いて楽しい武勇伝というのは、そういった準備が不足していたものを、現場の機転などで何とか回避した、解決した。というものもありますが、本当に凄い人と言うのは、こういったことを全て事前に出来るだけ潰せる人なのだろうと感じた。そこに、想定外という”言い訳”はありません。
自分は凡人なので、なおさら、必死にストックを貯めないといけないのかなと、感じる次第でした。

さて、この話が知識創造企業にどのように繋がるだろうか。
実は、このようなプロフェッショナルを支える一番の根幹は「意識」だと考えている。
結局、笛吹けど踊らずでは仕方無いのだ。

この点、内田氏に質問したのだが、残念ながらボストンコンサルティングに入社されるような方々は、そういう前提は持ち合せているので、心配するところでは無い、とのことで、想定通りの回答でした・・・。

真のプロフェッショナル集団としては、これも一つの組織の形ではある。このような中で、お互いが高め合える組織は凄い。
しかし、我々が本当に目指すべきは、プロの手前にいる人間の意識改革や、意識を変える気が無いような社員をどのように処遇していけるか、なのだろう。その時には、人事部が中心となって、親身になり彼らの話を聞きながら、キャリアなどを一緒に考える癖をつけるような取組が必要なのかと感じた。

いずれにせよ、知識創造企業においても、完全なる受身というのは許されないのかも知れない。(個人的には強くそう考えるが、では、受身人間をどう遇するべきか?排除するのか。意識改革させるのか。ただ受け入れるのか。拙速に答えが見つかるものでは無いのだろう)

発信をするということが求められる。とにかく、恰好悪くても良いから、自分の考え・アイデア・想いを表明することが大事なのだ。それを無視するような職場は論外だが、受け入れ、みなで高め合っていける。そのような仕組みが必要になってくるのだろう。そこで参考になるのは、「自己成長する意思表明の仕方」だろう。以下のブログ記事をご参考下さい。
http://kke-keieijinji.blogspot.jp/2011/08/blog-post_20.html

そして、何かと都合の多い日本人の本音や内なる想いを引き出すには、KeyGraphやイノベーションゲームⓇも有効なのだが、これはまた、別のお話。

※イノベーションゲーム(R)は東京大学 大澤教授の登録商標です。

(Y.Nobuka)

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2012/03/22

重要無形文化財(蒔絵)保持者のご講演

人間国宝であられる「室瀬和美」氏の講演を拝聴してきました。
http://www.murose.com/

東京大学医科学研究所の勉強会一環だったのですが、シアターテレビが入ってました。
http://live.nicovideo.jp/gate/lv85880465
 最後の質問者は、自分です・・・

「今に生きるうるしの文化」というタイトルでした。

漆の歴史に始まり、漢字の成り立ち、科学的・学術的な研究結果まで非常に幅が広く、中身の濃いご講演でした。
正直、「うるし」に強い興味があったわけでは無かったのですが、講演を拝聴して目から鱗でした。

本ブログに通ずるところで気になった箇所は、

漆器の品質は、ボディが9割。屋台骨。素材である木だけでなく、その下地作りによって決まる。

下地作りとは、完成してしまえば素人には全く分からないもの
(逆に言えば、下地が適当でも仕上げを綺麗に行えば、それなりに見栄えがするものができる?!)

実際、素人には判断が出来ないそうです。プロが見れば、分かるそうですが。
質問でもあったのですが、じゃあ素人はどうやって見分けるの?というと、、、値段しか無いとか、、、

さらに、本当に良いものを作るには、20年~30年かけて完全に乾燥させた木を使う
そうすることで、乾燥による劣化を防げる
(その証拠に、マリア・テレジアが収集していた漆器は今なお原型を留めている)

下地もそうだが、手を抜こうと思えば簡単に手を抜ける。結果、安い製品が大量に作れるだろう。
しかし、そうすると結局は土台が劣化していくという悪循環がある

組織も、仕事(プロジェクト)、料理だって、何にでも通ずることですね。

また、室瀬氏はうるし文化を広く普及していきたい、という中で既成概念に捉われず、様々な分野にチャンレジされていた。

ハープ、チェス盤、葉巻入れ、、、

既成概念や思いこみは、自分の世界を狭めるだけでなく、現実をミスリードしてしまいます。
組織作りの際も、最初に作る土台が大事なことは言わずもがなですが、そこから既成概念や思いこみに捉われず、どのように変化へ対応していくのかが、大事ですね。

最後に、本当に良いものほど乱暴に扱っても(語弊があるが)大丈夫らしいです。
漆は一度固まってしまえば、硫酸や塩酸でも溶けることが無く、王水と呼ばれる金を溶かす酸にだって耐えるそうですよ。だから、洗剤なんかで劣化することはまず無いそうです。。。熱にも強いとか。物理的な衝撃は避けた方が良いので、食器洗い機はダメだそうですが。

<その他、こぼれ話>

おわん、という字は用途によって3つある

茶碗 (PCが勝手に変換するから気付きませんが、ちゃんと”碗”の字が変換されます)
飯椀 (木へんです) 
金属の鋺

茶碗は、茶室でお茶を飲むことを想像すると分かりますが、グツグツと熱い湯でお茶を点てるのですが、そのあとは直ぐに飲んで欲しいから、直ぐに冷める熱伝導率の良いものということで、石が使われていたそうです。
それに対して、飯椀は、木の椀なのですが、木は逆に保温効果が高く、熱々のご飯を入れれば20分でも30分でも冷めないそうです。良く噛んで食べましょう。と言うが、茶碗に入れてしまうと、確かに10分ぐらいでご飯が冷めてきますよね。
ということで、ご飯は”お椀”に入れましょう。というのが室瀬氏の提言でした。
そもそも、「ご飯茶碗」なんて日本語は無い!と言っていましたが。

伝承は不変に伝えていくもの
伝統は変わらなければいけないもの

漆の生息域は、東洋のモンスーン気候である、日本列島、朝鮮半島、中国大陸(最西は、ブータンだとか)
ウルシ科の植物は他に、マンゴーやカシューナッツなども

ヨーロッパの人々は、漆器のその素晴らしさに、漆や漆器のことを「japan」と呼んでいたそうです。
陶器を「china」と呼ぶのと同じですね。残念ながら、「japan」の方は廃れてしまったようですが。

元々は、桼という漢字が入ってきたが、日本ではその水気の多さから「サンズイ」がついて、今の漆になった。

最後は冗長になりましたが、良い経験をさせて頂きました。
実際の作品も拝見しましたし、作業工程も一部見せて頂きました!

(Y.Nobuka)

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2012/03/13

編集術について

先日、編集工学研究所の大川様によるワークショップを体験しました。
http://www.eel.co.jp/

詳しい内容は先方のノウハウに触れる部分もありますので割愛しますが、実は編集を志したことのある筆者にとっては大変興味深く楽しいものでした。※とはいえ、ノウハウを知っていることよりも、その使い方をワークショップで学べることに価値があるので、むしろノウハウは公開した方が良いのかも知れませんが。

編集術と表現されていたのですが、プロセスはまさに「イノベーション」の起こし方、という感じだったのでその点について記載をします。以下は、わたし個人の考えを書いたものになります。

思考プロセスは、収束と発散の2パターンに大別できる。
自分の思考が今、どちら側にあるかを考えることは有用である。
思考の際には、知らない内に経験に基づくフレームに陥っている。
何かの物事を認識する時、無意識にラベル付をする。例えば、リンゴを見れば赤い果物と認識する。その認識を持っている内は、リンゴでキャッチボールをしようという考えには至らない(してはいけないし・・・)
例が下手で恐縮ですが、発散が苦手という方は、こういうことが出来ないということなのです。常識的に、それはしてはいけない。と、”常識”を持ちだした時点で思考がストップしている。

この思考の枠を外す方法は巷に溢れているが、一つ意識すると良いのが、今行ったようなラベルについて考えることだ。
リンゴは、果物以外になんだろうか?形は球体だな。お店においてあれば商品だな。美術館にあれば、芸術品かも知れない。このように、状況を変えて考えていくことで、思考の枠を外す一つのヒントが得られそうである。

実はこれは、イノベーションゲーム(R)にも応用したいと、常々考えている。
これまでのイノベーションゲーム(R)は、アイデアの元になるカードと、消費者役のニーズによって新たな発想が行われる。しかし、やはり発散に慣れていない人々にとって、この過程は難しいものである。そこで、あるタイミングで

「朝だったら何がありますか?」
「会社だったらどうなりますか?」
「受験勉強ではどうでしょうか?」

などの教示を与えることで、思考の枠を意識的に外すプロセスを提供できるものと考えている。
ただし、では、どんな教示が良いのか。ファシリテータ―が意図的に言うのが良いのか。など色々とありそうではあるが。

まあ、今回のワークショップを通じても思うことは、結局は発散と収束(選択と組み合わせ)が基本なのだなと言うことです。特に日本人は発散フェーズが苦手であり、自覚している方が多く、先日も大手企業の部長さんが、本当のブレーンストーンミングが出来れば、イノベーションに繋がるアイデアは出てくる。

と言っていましたが、大方、その通りだと思います。ただ、本当?のブレーンストーミングというのが、まあ出来ないわけですが。ワールドカフェにその可能性を見い出す方も多いかと思いますが、次に、収束フェーズが下手くそ、という問題が続きます。悩みは尽きません。(収束フェーズがファシリテータ―のスキルに依存します)

イノベーションゲーム(R)には、その両方をクリアするエッセンスがあると感じています。クリアすべき課題は多いですが、優秀な個人に依存をしない、イノベーションの形というものが作れるのは、このゲームが一番可能性があると思います。ご興味ある方は、お気軽にお問い合わせ下さい。企業内での実施なども受けております。
https://kke.smartseminar.jp/public/seminar/view/143

※イノベーションゲーム(R)は東京大学 大澤教授の登録商標です。

(Y.Nobuka)

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2012/03/12

第3回 新商品開発のためのイノベーションゲーム(R) in 名古屋

本セミナ―もお陰様で第3回を迎えることが出来ました。詳細はこちら。
https://kke.smartseminar.jp/public/seminar/view/562

3回目にして、タイトルも若干変更となっております。わかりやすく、イノベーションゲーム(R)そのものとしています。

過去2回を振りかえりますと、参加者の皆さまには、イノベーションゲーム(R)の楽しさは体験して貰えました。また、消費者視点でのゲームプレイや対話の在り方も好評だったと感じております。

その反面で、初対面のメンバーが1回限りでプレイするイノベーションゲーム(R)は、どうしても発想されるアイデアに限界があります。出されたアイデアがイマイチ、ということです。

出来る限り、この点も改良したいということで、これまで検討を重ねてきまして、ついに一つの方向性が見えてきました。新たなイノベーションゲーム(R)をどうぞ、ご体験下さい。残念ながら名古屋での開催となりますが。東京や大阪など、別地域での開催をご希望の方は、下記までご連絡下さい。
https://kke.smartseminar.jp/public/seminar/view/143


※イノベーションゲーム(R)は東京大学 大澤教授の登録商標です。

(Y.Nobuka)

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2012/03/10

若返ることが活性化では無い

とある会社の記事で、「十数年続いた体制を一新し、若返りで活性化」というような内容がありました。社名は伏せます。

経営陣の平均年齢が10歳ほど若くなり、40歳代前半になるそうです。
記事の中に、

創業以来初となる経営陣の刷新に「社内は俄然活気づいている」(社員)

ポイント、ここですよね。
若いことが偉さでも、活気でもありません。若くても保守的な考えの人もいれば、ベテランでも革新的な人はいます。

まず同社の問題は、十何年も続いた成長の中で、創業メンバーが中心に居続けたことです。
創業当初はベンチャー企業で、活気にあふれていたでしょうが、気がつけば企業も大きくなり、固定化された組織の中では、自然と利権が発生し、派閥などが生まれます。目に見えていなくても、そんな風になります。

大事なことは、ベテランであれ、若手であれ、今あるフレームを疑えるか、の一言に尽きると考えます。
年配の方が不利(有利の裏返しですが)なのは、多くの体験を蓄積しているために、知らず知らず、意思決定が固定化していることです。その中には、過去の成功体験、失敗体験が”無意識”に反映されています。この無意識が怖いわけですが。

また、自分の成功体験と違うストーリーを言われた時に、まず、そのストーリーの何が優れているのか、という視点で考えられるかが大事です。意外に難しいです。そこで異質な文化とコミュニケーションすることが肝要になります。
だから、わたしはイノベーションゲーム(R)という対話手法(誤解のある表現かも知れませんが)を大澤先生から学んでいる?わけですが。

言いたかったことは、組織の活性化に必要なことは、若さと言うより、異質なもの、なのだということです。
同質化している中で、自分たちを省みることができる時は構いませんが、普通、それは難しいことなので意識的に異質なものに触れることが大事なのでしょうね。だから、ダイバーシティ(多様性)とも言われるわけです。決して、イノベーションのためだけではありませんね。
また、知識創造企業においては特に、組織の在り方を常に省みる姿勢と仕組みと能力が必要となるなあ、と考える次第です。

人事部に求められることは、組織を観察する力、定量的に調査する仕組みや分析能力、そして状況を深く理解するためのシミュレーションというところでしょうか。この辺、優秀な人事マンの力量でカバーしているというのが現状かと考えます。

※イノベーションゲーム(R)は東京大学 大澤教授の登録商標です。

(Y.Nobuka)

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