2011/07/07

【参加報告】ヒューマンキャピタル2011

本日は、ヒューマンキャピタル2011 1日目に参加してきました。
http://expo.nikkeibp.co.jp/hc/201107/

「わが社のダイバーシティ推進活動」という講演を聞きました。

カルビー株式会社の後藤様と、東京海上日動システムズの佐々木様がご講演されました。
(資料が手元にありませんでの、事実関係がずれている表現もあるかも知れませんが、ご容赦ください)

カルビーさんは、2009年に脱創業家を進め、2010年からダイバーシティ推進活動に取り組まれています。わずか1年でここまで!と思う程に、充実した活動内容でした。

経営戦略の一つとして認識されており、トップである松本CEOが非常に理解がある方なのだなと感じました。合わせて後藤さん自身の手腕にも惹かれるものを感じました。

経営層が「ダイバーシティにかけるお金は、コストでは無く、投資だ」

とハッキリ言っているというのも素晴らしいです。本当に経営戦略なんですね。
さて、意識調査をされて、キャリアデザイン志向度、管理職志向度という項目に男女差が大きかったそうです。この差を良い方向に縮めていくのが目下の課題ということでした。

弊社的な視点で捉えると、その男女差が出ている本当の原因はきちんと把握されているのかな、と少し気になりました。もちろん、ダイバーシティに基づく活動を進めていけば、恐らく上がることは間違いないとは思いますが、さらに効率良く進めるために、調査結果を深く分析するのも一興かなと。

参加者には漏れなく「ひとくち美膳」が振る舞われました。美味しかったです。
→これは女性視点で開発された商品で、女性の活躍無くしてカルビーの未来無し。と言われていたことを象徴するような商品のようです。

東京海上日動システムズさんの話は、ハピプロ(Happy Work & Life Style Project)とか、WWW(Waku Waku Wrokstyle)とかネーミングセンスが上手いと思いました。

途中、SP対談という、違う部署の上司と部下が対談するという事例があり、こういった関係は他でも応用できるなあ、と考えていたら、そんな事例がさらにありました。

”ママカフェ”という取組なのですが、育児をしている部下と、そのような部下を持つ上司が一堂に集まり、お互い直属では無い上司・部下のコンビになり、さらに立場を逆転させてロールプレイをさせたそうです。
この時のお題が「熱意持って取り組んでいたプロジェクトの最終プレゼンの直前、保育園から子供が熱を出したから直ぐに来て欲しい、という連絡が来た」というもので、その時、あなたは何を感じますか?などということを対話して貰ったそうです。

事後感想として、上司は「部下は真っ先に子供の心配をするのだろう、と思っていたら、意外にもプレゼンへの悔しさが先立っていて意外に感じた」

というものがあったそうです。賛否あるでしょうが、ここでのポイントは、一般的に上司は「部下は子供第一で、仕事のことなんか二の次」と考えがちであるのに対して、実際は「育児と仕事の両立に様々な葛藤を抱えているという現実」があるということでしょう。
この現実を知ればこそ、上司も理解が深まるというものです。

こういった話を聞いていて、やはり思うのは、お互いに知ることの大事さだなと。
実はダイバーシティの根幹は、ここにあるかも知れません。日本のような島国文化の場合、相手の気持ちを何となく理解できる背景があったわけですが、国際化していく中では価値観が多様化し、異質なものに触れる機会が増えてきます。
多様化する社員だからこそ、相手を知る必要があり、同じ文化(風土)を強く共有する必要もあるのでしょう。不特定多数の人間がまとまるためには、ある種の宗教が必要であり、組織においてそれは、理念などと置き換えられるのでしょう。

最後になりますが、お二方のご講演を聞きまして思うのは、確かに多くのケースにおいては、一般事例として他社の取り組みは役に立つ面は大きいと思いますが、目標とするゴールや風土の違いを考えて行くと、やはり最後の答えは個社毎なのだと言うことです。
だから、他社の事例を真似るだけではダメなわけです。
カルビーさんが言われるように、ダイバーシティが経営戦略の一つであるならば、尚更、他社の真似をするのではなく、差別化を目指すべきで、それが戦略というものです。

人事の課題を経営視点で見ていると、本当に考えるべきことが多く、正答も無い中で皆さん苦労されているのだろうと、改めて痛感しました。弊社の提供する価値が、そのような苦労を少しでも緩和し、より良い戦略実現に貢献することができるよう、一層努力していきたいです。

(Y.Nobuka)

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2011/07/05

【書評】ボローニャ紀行 井上ひさし著 (Mai Takashima)

本書のタイトルである「ボローニャ紀行」を見て何を連想するだろう。タイトルと表紙の赤煉瓦の街並の写真から、単なるイタリア観光日記だと思う人もいるかもしれない。しかし本書では観光地としてのボローニャではなく、そこで暮らす人々の生活あるいは精神に焦点が当てられている。著者、井上ひさしが2週間のボローニャでの滞在をとおして感じた、彼らの精神についてがエッセー風に読みやすく書かれている。

この本は自分と同じ街に生きる人のために働く、日常を大事にするというボローニャ精神の紹介をとおして私たちが当然のように受けて止めている現代社会、そのあり方について振りかえらせてくれる。

ボローニャ精神を代表する1つとして、著者は”社会的協同組合”をあげている。市民の生活は、周りを見渡し助けを求めている人を見つければ”協同組合”という形を作り、助けていくことの繰り返しで成り立っている。
主体性をもった行動をするために、市民たちは幼いころから自分の主張を伝え貫く力を養われている。個人的には、「企業の正規雇用回避が原因で職のない人々のために、無料同然で衣住食を提供してくれる施設に関する新聞を作る」というエピソードが印象的であった。

またボローニャ精神の2つ目にシェアの精神がある。「街の動力」より、世界一の充塡包装システム機械で有名なIMA社が、その主力技術を独占ではなく他社と共有することで今ではボローニャをパッケージバレーと呼ばれるまでに経済発展させた話や、「山の上の少年コック」では、使わなくなった古い公共の建物や土地を無償で共有することで、障害も持つ子供たちの新しい教育現場として提供するなど、日本ではなかなか耳にしない話が多く興味深く感じた。

ボローニャ精神の特徴はその引き継がれ方にあると思う。人々は精神を教えられるのではなく体感することで受け継いでゆく。それは自分が相手を助けることで助けられたり、古い建物をとおして自分が過去と未来をつなぐ役割を背負っていると気づいたり、また芸術作品をとおして感じるだったりと様々だ。
「演劇の役割」では、あるローマ喜劇役者が中世を舞台に中央政府や財界の偉い人をからかうような笑劇を通して、市民らに「国に頼らず自分たちの目の前の居場所・人を大事にしよう」というボローニャ精神を浸透させたと語られている。鑑賞や娯楽としてだけではなく、思想の継承や伝達としての芸術の存在になぜイタリアの人々が芸術を重んじているのかを垣間見たよう気がした。

今回本書を読むのにと並行して、大竹文雄著による「競争と公平感」という本も読んだ。著者は、日本人が市場競争に強く賛同しない理由は、学校教育の中で市場競争のメリットについて説かれることが少ないためであると指摘する。と同時に「市場で厳しく競争して、国全体が豊かになりその豊かさを再分配政策で全員に分け与えることで公平性を図ることができる」と主張している。この2冊の本をとおして「人々が幸せになるため」の手段として競争のない社会、競争のある社会と正反対のアプローチがあることを知ったが、そもそも私自身、市場経済について知らないことを改めて痛感させられた。また私個人としては、今後日本がいずれの方針で進むにせよ、学校教育が鍵になってくるのではないかと思う。

井上ひさしは近年の企業の人件費削減、貧困層の固定、少子化など社会が抱える問題は日本もイタリアも類似しているという。「ボローニャ紀行」の赤煉瓦の街並の写真は、これこそがボローニャの人々の働く意味であるという著者の思いが込められているのかもしれない。

(Mai Takashima)

2011/07/01

経営人事ソリューション室のキャッチコピーに関して

弊社は6月決算ですので、本日から新年度を迎えております。

3週間程、OJT研修に来ていた新人さん2名のうち、1名が配属となりました。

OJT期間中に考案頂いたキャッチコピーの筋が良かったので、ここに明記します。
(お客様とビジネスをする時の、当室のスタンスや考え方を表現できております)

(1)人の「思い」=組織の「思い」に。

経営人事ソリューション室は、お客様と一体となって、人が活き活きと働ける組織を実現する、長期的パートナーを目指します。組織の課題を見える化し、経営・人事の意思決定を、最新の情報技術を駆使して支援いたします。

(2)「考える人事の意思決定の支援パートナー」

「心」をもった経営資源である人を扱う人事への課題に唯一解はありません。個々の「思い」の集まりからなる組織にはその組織の「思い」に沿った答えがあるはずです。経営人事ソリューション室では経営の「意志」、社員の「思い」を様々な検証・分析・シミュレーションをもって可視化することで人事の皆様の「気づき」や「考え」をさらに深め、意思決定できるように支援いたしします。


もしかすると、そのうちホームページにも、この表現が出てくるかも知れません。
ご注目頂ければ幸いです。

これからの”人事”は、経営と一緒の視点に立って、他社よりも優れた人事部で無いといけません。

他社と同じことしかしなければ、同じ人材しか揃わず、これを資本と考えた時に差別化がされません。

しかし、人という意思を持った存在が介在するからこそ、これを経営視点で考えるというのは、言う程簡単なことではありません。弊社自身も、10年以上前から、ずっと考え続け、今なお、より良い在り方を考えています。

そのような中で、プロセスの作り方や、考え方に関しては一定の知見も蓄えつつあります。そのようなものが、人事の皆さまのお役にたてばという思いで、日々仕事をしております。

是非、一緒に色々と考え、次世代の人事の在り方を討議出来れば幸いです!

(Y.Nobuka)

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